胚の凍結保存はIVFやICSIの際に複数個の受精卵が得られ、なお胚移植後にも良好な受精卵が余分に残っている場合、またはOHSSの為に胚移植を行わなかった場合に余剰胚を凍結保存し、次週期以降に胚移植を行います。
凍結保存が行われるようになった理由は、IVFやICSIの卵胞刺激法により一度に複数個の卵子が採れるため、受精卵も多く得られるようになりました。しかし多胎防止のために日本産婦人科学会の会告により胚移植は原則2個までとしております。そこで残った胚は凍結保存をいたします。したがって、1回の採卵でその後1〜3回の移植ができるため、採卵1回あたりの妊娠率が高くなります。また、患者さまの肉体的、経済的負担も少なくて済むようになりました。そのような理由で凍結保存が必要となっております。なお、未受精卵は凍結、融解時に損傷を受けることが多いので、受精後の胚を凍結するのが一般的です。
胚の凍結保存の実際
採卵後3〜5日に胚を移植します。その時点で良好胚が残った場合、患者さまの同意を得て凍結保存を行います。
胚は凍結する前にまず凍結保護剤といわれる胚が凍るときにできる氷の結晶から胚を守る役目をする薬剤に浸し、専用器具に封入しー196度の液体窒素中に保存します。
胚の融解、移植の実際
凍結してある胚を液体窒素より取り出し、37℃の培養液中で凍結保護剤を取り除きます。その後2時間以上培養してから生存が確認できた胚を移植します。
凍結胚の移植は体外受精を行った周期から少なくとも1周期以上過ぎてから行います。胚移植日は外来通院にて超音波検査やホルモン補充、ホルモン検査などを行い、排卵日を推定してそれに基づき決定します。
凍結胚移植の成績と影響
受精卵が凍結融解後に生存する確率は約70%です。すなわち、凍結保存により30%は変性してしまいます。そのため移植できない場合もあります。
凍結胚により妊娠した胎児の予後調査をしてみますと、身体発育、精神発達にも自然妊娠との差は認められておりません。先天異常の発現率も差がないと報告されています。 |